■50代 女性 会社員 鳥取市
■来院
2018年 5月
■来院時の状況
2017年11月ころから、日常生活(洗濯物干す・エプロンの紐を結ぶなど)で左腕が動きにくくなってきたと感じ始めた。
しばらく様子をみていたが徐々に悪化し、2018年4月に夜間痛で眠れなくなり、可動域も屈曲・外転共に20度程度までになってしまい、整形外科で治療(電気治療・注射)をしたが全く改善が見られず、当院に来院されました。
※屈曲=前から腕を挙げる動作、外転=横から腕を挙げる動作
(可動域は下図赤線参照)
また、同じ2017年11月ころに逆流性胃炎を発症し、来院時にはほぼ回復はしていたとの事です。
施術内容と経過
初回の検査では、外転・屈曲共に20度程度しか左腕が挙がらず、自力で挙げると痛みもありました。
お話をうかがうと、デスクワークや家事で腕を使う事が多々あるが、内旋した状態での作業が多いために肩甲骨が引っ張られ、腕を動かす主要な筋肉の棘下筋がかなり緊張していました。
また、それと同時に上部胸椎と肩甲骨の硬さもありました。
主な原因としては、
- 腕の内旋による肩甲骨の硬さと棘下筋の緊張
- 上部胸椎・肋骨の動きの悪さ
- 胃腸の弱り(逆流性胃炎)
が挙げられます。
五十肩が発症する場合、筋肉や関節だけでなく内臓の弱りも大きく関連しています。
今回のケースは、ほぼ同時期に逆流性胃炎を発症している事がポイントです。来院時は改善傾向でしたが、十分に調整する必要があります。
1~3回目
施術の序盤は、1週間で3回来院していただきました。ここでの目的は、
- 筋肉の緊張を緩めて、夜間痛を軽減させる
- 動かした時の痛みを軽減させる(動かしやすさを感じられる事)
が挙げられます。
夜間痛を軽減させる事で睡眠を十分にとる事ができるので、改善を早める事が期待できます。睡眠不足は何よりも改善を妨げるので、夜間痛の軽減は急務です。
また、動かした時に走る激痛も身体をさらに緊張させてしまうので、軽減させる必要があります。
上記の点が満たされると、自然と緊張が解けて可動域が広がっていきます。
改善への過程としては、「痛みの軽減→可動域の広がり」となります。
具体的には、棘下筋をはじめとした肩関節周辺の筋肉を直接緩める施術を行います。正直、けっこうな痛みがあるのでとても辛かった事と思いますが、改善のためと頑張ってくださいました。
胃腸の調整はかかさず行っています。
4~6回目
序盤の3回を終えて夜間痛もほぼなくなり、可動域は、屈曲は60度くらいまで挙がっていましたが、外転はまだ水平まで挙がりませんでした。
屈曲は棘下筋の緊張が大きく関係していますが、外転はそれに加えて上部胸椎・肩甲骨の動きがさらに関係してきます。
ですので、ここからは筋肉への施術と合わせて「上部胸椎・肩甲骨を動かす」施術を行っていきます。周辺の筋肉が緩んできた事で、関節の動きを作っていく土台ができています。
6回目を終えるころには、施術での棘下筋の痛みもかなり軽減されており、睡眠もとれていたので、改善のスピードも加速していました。
6回目を終えた時点で可動域は、屈曲・外転ともに60度以上挙がる様になっていました。
7~8回目
8回目施術前で、可動域もほぼ改善され、夜間痛・挙動時の痛みも全くなし。
8回目にて、施術卒業となりました。
まとめと考察
今回のケースの特徴は、
- 来院時にかなり筋肉の緊張と拘縮が見られた(フローズン状態)
- 夜間痛があり、睡眠がとれていない状態
- 症状が出始めて半年以上経過していた
という事で、当初かなりの施術回数と期間を要すると予想していましたし、それをお伝えした上でご納得いただいていました。
「痛みや挙げにくさはあるが、何とか挙がる」という状況であればさほど期間はかからないのですが、今回の様に「完全に痛んで挙がらない(フローズン)」までなってしまうと改善までの期間は一気に長くなります。
ですので、五十肩の気配がみられたら「まだ何とか挙がる」の時点で対応してください。フローズンになると、後々大変です。
今回のケースは、当初の予想よりもかなり早い改善となりました。
ポイントとしては、
- 棘下筋はじめ周辺筋肉への適切なアプローチ
- 上部胸椎・肩甲骨のアプローチへ順調な移行
- 胃腸の調整
が挙げられます。
そしてなにより、厳しい見通しの中でご本人が良くなるために前向きに取り組んでくださった事だと思います。
現状を受け入れて取り組んでいただく事で、予想以上の結果を手に入れる事ができます。
※補足
他のケースでもそうですが、四十肩・五十肩はなかなか改善が見られないケースでも、ある時を境に一気に改善へ向かう事が多いです。
ですので、最初は痛いし辛いですがあきらめずに取り組む事で必ず改善が見込める症状です。
お電話ありがとうございます、
鳥取整体院でございます。